『Webディレクションの新・標準ルール システム開発編』を読んだ

『Webディレクションの新・標準ルール システム開発編』を読んだ

2017年11月21日に発売されたシステム開発におけるワークフローとディレクションについてトータルで理解できる本をMdNさんより献本いただきました。

Webディレクションの新・標準ルール システム開発編

Webディレクションの新・標準ルール
システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス

書籍タイトルを見て、制作側のディレクター向けの本なのかなと思ってたんですが、システム制作に関わる発注者、そして開発会社のディレクターはもちろんのこと、デザイナー、エンジニアにも関係ある内容が盛りだくさんでした。

ちなみに書籍内では、開発会社をベンダー、クライアントを発注者と記載しています。

目次

本書は下記のような構成になっています。

  • システム開発の基本とフロー
  • 「与件」を整理する
  • 「要件」を定義する
  • 設計・開発・テスト
  • リリース・運用・改善

詳細目次

目次 1章〜3章
目次 4章〜5章

1章 システム開発の基本とフロー

発注側の目線でどういう資料(RFPの作成)を用意しないといけないのか、ベンダーの選定はどうするのかなどシステム開発における最初の工程が解説されています。

システム開発のプロセス

ベンダーに丸投げするのではなく、システム担当者がきちんとゴールを理解しながら明確な発注要件を作ることは人に伝えるうえでは大事。システム案件かつ複数人関わる長期プロジェクトにおいて、よしなに、とか、いい感じには、相当なコミュニケーションが必要で燃え上がる可能性と燃え尽きる可能性が高いです。ベンダー側としても、発注者以上に業務に精通していなければ難しいんですよね。

システム開発における代表的なメンバー

2章 「与件」を整理する

開発を行うにあたっての課題などを発注元が社内ヒアリングし、プロジェクトの土台となる概要を作っていくことに関して解説されています。

システム化する範囲を検討する

いくらモダンなシステムや設計でも、業務に即してなければ使い物にならないですし、当然運用担当者の理解も必要。プロジェクトに関わる人それぞれがプロジェクトのテーマとゴールを理解しないと、「え、なんでそんな大掛かりな機能になってるの?他に優先することあるでしょ・・・」みたいなことになりかねない。

本文中にあった図で、「人に巻き込むと失敗」、「テーマに巻き込むと成功」というのはシステム開発だけでなく、チームプロジェクトにおいては本当にそうだなぁと。

3章 「要件」を定義する

要求定義、要件定義、機能要件、画面遷移、データ設計(DFDやER図)など具体的にシステム開発を行ううえで、決めること、作成すべきものに関して解説されています。

機能要件を考える

もはやこれがないと、やっぱりこの機能必要ですとかがどんどん出てきて全体の工程がカオスになりやすい。ただ、要件にないから作らないのではなく、双方にコミュニケーションをとりながら、その課題への対策を当然スケジュール込みで一緒に考える必要はあると思う。システム作るだけが解決方法ではないと思うし。

画面に関する要件

画面遷移は特にデザイン工程からコーディングにも跳ねるので、こういう全体を俯瞰してデザインシステムを組みたいです。

4章 設計・開発・テスト

開発における手法、いわゆる「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」や、ユーザーの行動パターン設計、開発環境、テストについて解説されています。

開発前に準備しておくべき項目

「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」については両方やってみたものの、どちらもメリット・デメリットもありつつ、そのプロジェクトでどういうやり方が適切かを判断するのも大事です。

アジャイル開発においても、タスクに対しての適切なポイント数を見積もるのは本当に難しいです。書籍内では、見積もりも合わせて重視しなければいけない点も含めて解説されてるので導入にあたっての理解を深めることができます。

ちなみに過去プロジェクトでは、ポイント見積もりについては下記サービスを利用していました。

Pivotal Tracker

Pivotal Tracker

5章 リリース・運用・改善

リリース前におけるチェック、リリース方法、ステージング環境や本番環境との連携、運用時における機能追加や改善、そしてロードマップなど、運用時において知っていなければいけない内容が解説されています。

リリースをどのように管理していくか

個人的には、開発環境、ステージング環境、本番環境があるとやりやすいものの、ではデータはどうするんだとか、それぞれのアップデートなどの手間を考えると、IaaSなどクラウドをうまく使ったほうがいいなとは思います。

納品して終わり、ではなく、システムの場合脆弱性に対する保守・運用もありますし、活用することで効果を生み出す、そして業務にあわせて機能改善も行う必要があります。いわゆる初期から機能万全な製品を作って提供する、バグが出たら直しましょう、というハード製品の考え方とWebはかなり違うので、まずはその認識合わせが重要なのではないかなーと。

本の中で紹介されているやり方すべてを一括でやる、というよりかは、まずは取り入れやすいやり方から慣れていくのが一番で、その1つとして全体像の流れが読みやすいという点で参考になりました。

Webディレクションの新・標準ルール システム開発編

Webディレクションの新・標準ルール システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス

書名 Webディレクションの新・標準ルール システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス
著者(敬称略) 岩瀬 透、栄前田勝太郎、河野めぐみ、岸 正也、藤村 新、藤原茂生、山岡広幸
定価 本体2,200円+税
ISBN ISBN978-4-8443-6718-5